機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

メニュー

ニューアプローチ指令とは|CEマーキング

CEマーキングに関わる欧州指令(機械指令、低電圧指令など)をニューアプローチ指令と呼びます。

ニューアプローチとは、1985年5月、欧州理事会が安全性に関する指令や規則の基本的な考え方を従来とは違う新しいものにするため「技術の整合化と基準に関するニューアプローチ」に関する決議しました。この決議を「ニューアプローチ」と呼びます。また、その「ニューアプローチ」の考え方に基づいた新しい考えの指令を「ニューアプローチ指令」と呼んでいます。

 

ニューアプローチに至るまでの経緯

1957年の欧州経済共同体設立条約(ローマ条約)後、欧州加盟国は、ひとつの市場を創造するために、互いの国の法律をお互いに近づけて、貿易障害を取り除き自主流通が保証される国境のないEUの構築を進めていました。しかし、機械類の安全に関わる法令については、分野ごとに法令が大きく異なり従来の擦り合わせのやり方では、各国の国内法の原型にあたる規定を作ることができませんでした。そこで、自動車、食品、薬品の分野で行われた取組み(オールドアプローチ)では無い、新しい方法を模索し、そこて決議されたのがこの「技術の整合化と基準に関するニューアプローチ」です。

 

ニューアプローチ指令の特徴

ニューアプローチ指令は、特定の製品に対しての規制ではなく、広範な範囲を規定している安全性の指令になっています。ニューアプローチの考え方で発行される指令は、製品の具体的な設計方法、構造、使用方法を規定するのではなく、達成しなければならい安全上の必須要求事項(Essential Requirements)を規定し、その達成手段は製造者が決めることになっています。

必須要求事項のみでは、その内容の解釈が難しいため、欧州理事会は、欧州標準化機関(CEN, CENELEC, ETSI)に技術仕様を整合規格(Harmonized Standard)を発行させ、欧州加盟国の行政当局は、この整合規格に基づいて設計・製造された製品は指令の必須要求事項に適合しているとみなすことになっています。

技術仕様を規定している整合規格(EN規格)は、各国の国家規格(BS規格、DIN規格など)に採用することになっています。

製品が必須要求事項を満足している場合は、製造者自身が適合宣言し、製品にCEマークを表示することを義務付けています。

 

新法令枠組み(NLF:New Legislative Framework)

その後、CE マーキングは、製品の新法令枠組み(NLF:New Legislative Framework)が出され、製造者に対しは、適合性評価手続き等の強化、適合宣言書の作成や取扱説明書等の各国言語での作成。輸入者に対しては、輸入者名・住所等を製品等に表示の義務付け。流通業者に対しては、製造者・輸入者情報の表示の確認などが義務付けられ今に至っています。

 

MSDコンサルティング