機械安全の法律・規格と設計手法

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欠陥製品とは|製造物責任(PL)

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製造物責任(PL)法上の欠陥製品とは、設計上の欠陥や製造上の欠陥がある製品だけを指しているのではありません。製品の設計や製造上に欠陥はなかったとしても、製品の取扱説明書や警告ラベル、さらに広告用のカタログの表示に不備があり、それにより使用者が損害(PCが火を噴いたり爆発したりして家が燃えたり、人の怪我をしたりする損害)を被れば、製造物責任法上では、製品に欠陥があったことになります。

製造物の欠陥の種類

製造物責任法で欠陥とは、設計上、製造上および指示・警告上の欠陥に分類されます。いずれかの欠陥があれば製造物責任訴訟の要件を満たすことになります。

  • 設計上の欠陥:製造物の設計段階で十分に安全性に配慮しなかったために、製造物全体が安全性に欠ける結果となった場合 
  • 製造上の欠陥:製造物が設計や仕様どおりに製造されなかったために安全性を欠いた場合。製造物の製造過程で粗悪な材料が混入したり、製造物の組立てに誤りがあった場合など
  • 指示・警告上の欠陥:製造物から除くことができなかった危険(残留リスク)に対して適切な情報を与えなかった場合。取扱説明書や警告ラベルの記述に不備がある場合

製造物責任訴訟では、欠陥の存在は被害者側に証明責任があるが、どの部位、部品に原因があったまでは特定する必要はありません。製造物を通常の用法に従って適正に使用したことによって損害が発生した場合は、被害者たる原告としては、適正に使用すれば通常は損害が生じないようなものであることを証明すれば訴訟の要件を満たします。

欠陥とは通常有すべき安全性を欠いていることです。

第一条 目的 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第二条 定義 この法律において製造物とは、製造又は加工された動産をいう。 2 この法律において欠陥とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう

3  (略)

被害者は製造者の過失を証明する必要はありません。

第三条 製造物責任
製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。

確かに、免責事由は規定にはあるが 訴訟で認められた事例は皆無です。

第四条 免責事由
前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二  (略)

期間の制限、いわゆる時効の規定は各国で異なります。時効だからと言って訴訟が起こせない訳ではありません。

第五条 期間の制限
第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。 2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。

 

民法の法律的な責任の範囲は、製品の代金程度にとどまってしまうので、特別法として製造物責任法が作られました。 

第六条 民法の適用 製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。