機械安全の法律・規格と設計手法

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動力遮断装置|労働安全衛生規則の中から技術者が知っておかなければならない安全方策を解説します。

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「動力遮断装置」による危険の防止について、労働安全衛生規則の中から技術者が知っておかなければならない安全方策を解説します。

 

労働安全衛生規則
第2編 安全基準 第1章 機械による危険の防止
動力しゃ断装置
第103条

  1. 事業者は、機械ごとにスイツチ、クラツチ、ベルトシフター等の動力しや断装置を設けなければならない。ただし、連続した一団の機械で、共通の動力しや断装置を有し、かつ、工程の途中で人力による原材料の送給、取出し等の必要のないものは、この限りでない。
  2. 事業者は、前項の機械が切断、引抜き、圧縮、打抜き、曲げ又は絞りの加工をするものであるときは、同項の動力しや断装置を当該加工の作業に従事する者がその作業位置を離れることなく操作できる位置に設けなければならない。
  3. 事業者は、第一項の動力しや断装置については、容易に操作ができるもので、かつ、接触、振動等のため不意に機械が起動するおそれのないものとしなければならない。

 

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動力遮断装置は、連続した一段の機械であっても、機械毎に停止装置(スイッチ、クラッチ、ベルトシフター)を設置しなければなりません。ただし、工程途中(原料の供給や取り出し)に人が介在しない場合、つまり作業者が機械の危険源にアクセスしない場合は、この労働安全衛生規則では、機械毎の動力遮断装置は不要とされています。

現代風に言うならば、運転中などに機械の危険源に接近できる場合は、非常停止ボタンをすべての機械に設置(接近する場所や起動する場所)しなさいということです。一方、運転中などに機械に接近でできないのならな、一連の機械全体を停止する非常停止ボタンがあればよい労働安全衛生規則では述べいます。

一方、非常停止機能(JIS B 9703)では、「非常停止機器の制御範囲は、各非常停止機器の制御範囲は,機械全体を包含しなければならないとされています。例外として,例えば,連結された 全ての機械類を停止することが新たな危険源を生じる,又は生産に不必要な影響を及ぼす可能性がある場合は,機械全体を一つの制御範囲とすることが適切ではない場合に各制御範囲は,機械の一部,機械全体又は機械のグループを包含する場合がある。」と規定しています。

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動力しや断装置は作業者がその作業位置を離れることなく操作できる位置に設けなければならない。現代風に言うならば、非常停止ボタンは、作業者がすぐに操作できる場所に設置しなければならないと労働安全衛生規則では述べいます。

具体的には、最新の非常停止機能(JIS B 9703)では、「非常停止機器は、リスクアセスメントの結果によって必要としない場合を除き、各オペレータコントロールステーション やリスクアセスメントによって決定される他の場所(例えば, 出入口、 機械類への介入[例えば,ホールド・ツゥ・ラン制御機能の操作が必要な場所]、 設計上,人と機械との干渉が想定される全ての場所(例えば,搬入/搬出区域)であり、 非常停止機器は,操作を必要とするオペレータ及び他の人が直接近づくことができ,かつ,危険のない操作ができるような位置に取り付けなければならない。 手で操作することを意図した非常停止機器のアクチュエータは,接近のための平面(例えば,床,プラットフォーム)から0.6 m以上1.7 m以下の高さに取り付けることが望ましい。」と規定しています。

 

 

「ベルトシフター」とは

最近の産業機械ではこのような構造は見かけなくなりましたが、電動機等の駆動機械が高価であった50年前は、一台の電動機で複数の機械をベルトで切り替えて使用していました。

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職場のあんぜんサイト:労働災害事例

 

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