機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

メニュー

フォールトツリー解析(FTA)|リスクアセスメント|望ましくない事象を頂上の事象にし、その頂上の事象が起こる全ての筋道を洗い出す分析技法です

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/db/Fault_tree.svg

フォールトツリー解析(FTA: Fault tree analysis)とは、望ましくない事象を頂上の事象にし、その頂上の事象が起こる全ての筋道を洗い出す分析技法です。その筋道は、論理的な樹形図で示すため「故障の木解析」とも呼ばれる、危害の発生原因分析、発生確率算定に広く用いられている手法です。

たとえば、構成する個々の部品や装置の故障など筋道を AND やORの論理ゲートを用いて展開して解析する 頂上の事象の発生確率を算定することができます。

 

f:id:msdco:20201021211534p:plain

 

出典:JIS C 5750-4-4:2011「ディペンダビリティ マネジメント-第4-4 部:システム信頼性のための解析技法-故障の木解析 (FTA)」、日本規格協会

 

フォールトツリー解析(FTA)の概要

フォールトツリー解析(FTA)は、米国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射制御システムを評価するために開発されました。現在では、FTAは最も重要なシステムの信頼性と安全性の分析手法の1つとされています。

技術者は、製品の設計・開発時にその製品により生じる可能性のある危険な事象を見つけ出しリスクアセスメントを実施しなければなりません。リスクを軽減するには、製品開発の早い段階で潜在的な危険源を特定する必要があります。このリスク低減活動は、許容できないリスクから使用者を保護することを目的としています。

潜在的な危険事象を特定するために使用されるツールは多くあります。これらのツールの1つとしが、フォールトツリー分析(FTA)です。FTAは、事故や災害に至る事象を視覚的な経路を示す演繹的分析手法です。製品およびプロセス技術がより複雑になるにつれて、FTAの視覚的なアプローチは、重要な手法のひとつです。

 

フォールトツリー解析(FTA: Fault tree analysis)とは

フォールトツリー分析は、望ましくない事象を視覚的に表すトップダウンの演繹分析です。事故や災害に至る状況、筋道を AND やORの論理ゲートを用いて展開して配置します。各事象の結果は、事象間の依存関係を示す論理記号を使用して、樹形図で表示されます。

事象は、製品の設計に使用される機械部品、ソフトウェアや電子機器に関連しています。頂上の望ましくない事象は、主要事項です。トップレベルの事象の重大度の分類は、多くの場合、システムレベルのハザード分析で決定されます。

フォールトツリー分析は、問題解決に適用される場合の貴重なトラブルシューティング情報も提供します。FTAは、機械部品ややソフトウェアから望ましくない頂上への事象に至る確率の算出に利用されることが多くあります。

フォールトツリー解析(FTA)の目的

FTAは、根本原因または頂上の事象のリスクベースのパスを示します。特定されたリスクは、製品開発の早い段階でリスクを軽減することを目的とした活動に役立ちます。または、事故や災害を調査するときに、FTAによって示される一連のイベントにより、問題解決者は根本原因または基本レベルの事象につながる事象の確認も可能です。

フォールトツリー分析は、次の場合に使用されます。

  • 安全性に対しての懸念事項が生じたとき
  • 新しい機械の設計・開発を行うとき
  • 設計変更などの変更点が生じるとき
  • 製品の仕様環境や条件が変わったとき
  • 規制や規格が変更されたとき

 

MSDコンサルティング