機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

メニュー

1. 製造物責任(PL)法(その1)|(目的) 第一条|PL法は被害者の救済の法律です。しかし、製品安全管理の指針でもあります。

f:id:msdco:20201123143604p:plain
私は、労働災害を防ぐためには技術者は、 製造業者の責任(製造物責任)を知らなければならないと考えています。これから数回に渡って製造物責任(PL)法の説明をしていきます。技術者の私は、法の解釈や法理論を説明するのではなく、PL訴訟のに係わるような製品の事故や労働災害を未然に防ぐためにはどうすれば良いのかを製造物責任法の規定をベースに説明していきます。

製造物責任法とは、製造物の欠陥に起因して、人の生命・身体・財産に損害が生じた場合、製造業者に損害賠償責任を負わせるための法律です。

一般に、製造物(製品)は、製造業者から流通業者を経て販売業者に卸され、それが使用者に販売されることになります。この法律の内容は、例えば製造物に欠陥があり使用者が損害を被った場合、使用者が流通業者や販売業者を飛び越えて、直接、製造業者に対し損害賠償責任を追求できるというものです。

 

平成六年法律第八十五号
製造物責任法

(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする

 

まず、この法律の目的は「被害者の保護」です。最終的にはそれは「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与」につながるのですが、覚えておくべきことは「被害者の保護」のために、この製造物責任(PL)法が作られたということです。

製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害を受ける人は、製品を使う人を思い浮かべますが、それだけではありません。製品を直接使用していない第三者も保護対象になります。例えば、建設機械の欠陥で災害が発生した場合、その現場で働いていた作業員のみならず、付近を通行していた第三者も被害が生じた場合は被害者になります。

現代は、企業の巨大化や流通機構の複雑化により 安全上の欠陥製品に対して被害者の声が企業に届きにくくなっています。また、製品の技術の高度化や複雑化により使用者が製品の危険性を理解できず、製品を設計・製造する製造業者に、製品の安全性を委ねざるを得ない状況にもなっています。

日本の企業は、優れた品質管理を実施し高品質の製品を生産してきました。しかし製造物責任(PL)法が求める製品の安全性は、製造現場の品質管理が優れていても達成できない部分があります。それは、この法が、製品の設計段階において製品に存在するリスクを許容できるレベルまで回避や低減が実際に行われたのか否かを「欠陥」という言葉で表し、その欠陥の有無により製造業者の賠償責任の有無を判断するためのものだからからです。

ひとつの災害(事故)が 企業に大きなダメージを与え 社会が その企業の存続を許さない現代社会において、どのように企業や技術者が対応すれば良いのかを考えていきしょう。

 

 

 

 

 

 

MSDコンサルティング