機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

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CEマーキングの自己認証を応援!

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こんな話をある中小企業の製造メーカさんから聞きました。

大手企業の製品の周辺機器を長年納入してきたが、その企業から「次の製品は欧州に納めることになったので、CEマーキング対応にしてくれ」と言われてしまった。

東南アジア(韓国・中国など)への輸出の経験はあるが、欧州に輸出した経験はない。納入先の大手企業の調達部門の担当者に相談するとその会社が利用している認証機関(ノーティファイドボディ)を紹介してくれたが、見積もりを取ると、数百万(資料の英文翻訳や一部の検査費用は除く)との回答でがあった。

数百万の外部流出費用が掛かっては、利益が無くなってしまう、量産品ではないので継続的な欧州への輸出も期待できないので本当は辞退したいものの、今後の納入先との付き合いを考えると辞退という回答も難しい。どうすれば良いのか・・・

 

本当に認証機関の関与が必要なのでしょうか?

もしかしたら、今、欧州に輸出している製品は、認証機関(ノーティファイドボディ)の関与が必要ない、自分自身で適合性評価(自己認証)が可能な製品かもしれません。

よく考えてみてください、あなたの会社の製品を日本国内で販売するとき、社外(第三者機関)の安全検査や審査、または公的機関の製造や販売許可を受けていますか? 欧州メーカは、すべての製品に対して社外の認証機関(Notified Body:NB)による適合性評価を受けていると思いますか?

 確かに、危険性の高い製品(例えば、ボイラー、圧力容器、クレーン、リフトなど)は、日本で第三者による検査や許可が必要なように、それは欧州でも第三者の関与が必要です。しかし、8割以上の製品は、第三者による検査や許可は必要ないんです。

では、なぜCEマーキングで社外の第三者機関に頼ってしまうのか?  それは、我々の多くは、製品の安全性を高める方法を感覚的には知っていますが、欧州CEマーキングの仕組みや欧州法の安全に対するの考え方を知らないからなのです。

だから、このブログでは、2つ情報を伝えていこうと思います。ひとつは、CEマーキングの仕組みに関する情報です。もうひとつは、欧州の製品安全に対する考え方の情報です。社外に頼らない自己認証(内部チェック)で外部流出費用を必要最小限におさえ、その費用を本当の製品安全のために使っていきましょう。

  

その製品は半完成品か?完成品か?

大手製造者の製品に組み込む周辺機器(補器)を納入するにあたり「ヨーロッパに納めるので、CEマーキング対応にしてくれ」と言われてしまった。

例えば、あなたの機器が欧州CEマーキングの機械指令に準拠しなければならなくなった時に、まず確認しなければならない項目は、納入する機器は「半完成品」で納入するのか? それとも「完成品」で納入しなけれならないのかです。

納入先の製品に組み込んで使用する機器(半完成品)であり、最終製品になった状態で納入先の製造者がEU指令に対して適合宣言を行うならば、あなたが納入する機器は「半完成品」として納入することができるのでCEマークの表示は必要はないかもしれません。

もし仮に「半完成品」で良い場合は、少なくとも納入先の製造者に、CEマーキング対応については、次の項目を確認しなければなりません。

  1. 機器に要求される安全カテゴリや安全保護方策についての要求仕様範囲
  2. 納入する機器のEMC指令への適合の要否
  3. RoHS指令への適合の要否
  4. 納入する機器の取扱説明書、警告ラベル、表示モニタ等の言語。

「半完成品」であっても「完成品」と同様に最終的な製品はEU法令に準拠した製品にしなければならないことは同じです。しかし「半完成品」と「完成品」ではCEマーキング対応の外部流出費用や内部の労務費が大きく変わってきます。

CEマーキングの仕組みを知っているか、知らないかで、「半完成品」で納入して特に問題ない機器を、大手製造者の言われるままに、頑張って「完成品」としてCEマークを貼り付けて納入して、余計な費用が発生しまったが、結局その費用を製品価格に転嫁できない。

ルールを知らないと負けてしまいます。ルールを知りましょう!分からないなら専門家に相談して自分自身で学んでいきましょう!

 

 

コロナ禍で厳しい状況が続いていますが「欧州CEマーキングを理解して当社は自己認証で対応する!」そんな、やる気にあふれた企業をMSDコンサルディングは応援します。

 

 

2020年7月18日
MSDコンサルティング 所長