機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

メニュー

CEマーキング取得のための6つのステップ

CEマーキングの自己認証を行うが場合は、次の6つのステップで行うことを推奨します。CEマーキングを取得する主な流れは、下記のようになります。順番に説明していきます。 

f:id:msdco:20200926190533p:plain

ステップ1 製品に適用される欧州指令を選定

最初のステップは、製品が次の欧州指令の1つ以上の対象であるかどうかを確認することです。製品がこれらの指令のいずれかに該当する場合は、CEマークを付ける必要があります。

  • 埋込式能動医療機器(手術器具を除く)
  • ガス燃焼器具
  • 旅客用ロープウェイ設備
  • 特定の規則に基づく建設製品
  • エネルギー関連エコデザイン要求
  • 電磁両立性(EMC)
  • 防爆機器
  • 民需用爆薬
  • 温水ボイラー
  • 体外診断用医療機器
  • リフト(昇降機)
  • 低電圧
  • 機械
  • 測量機器
  • 医療機器
  • 環境中の騒音放出
  • 非自動計量機器
  • 個人用保護具
  • 圧力機器
  • 火工品
  • 無線機器
  • レクリエーションクラフト
  • 特定有害物質の使用制限RoHS 2
  • 玩具
  • 単純圧力容器
 指令とは?

指令は、欧州の法令の一種です。欧州加盟国は、この欧州指令と調和するように国内法をの適合を行います。

製品が1つ以上の指令に該当するかどうかを判断するのは難しい場合があります。たとえば、搬送装置に付属する電気制御機器の機械を製造する場合、いくつかの指令に該当します。どの指令が適用されるかを知りたい場合は、各指令の規定を読んで確認する必要があります。判断に迷ったら専門家に相談しましょう。各団体の専門相談員や専門家(コンサルタント)の助言を求めることも考えましょう。少しばかり費用は掛かるかもしれませんが、ここで判断を誤ると後で大損害を発生させる可能性があります。

製品が1つ以上の指令に該当するかどうかを把握したら、次のステップに進みます。

 

ステップ2 技術的要件の確認

製品が該当する指令に適合しているかどうかを評価し、適合していない場合は、どのようにして適合を達成するかを評価します。各指令は、製品が準拠するために法的に要求する規定を説明しています。これらは、指令では「必須要求事項」と呼ばれています。これらの要件は一般的な内容です。指令では、基本的な要件を満たすように製品を設計する方法を詳しくは、説明していません。

整合規格とは?

欧州委員会は、多くの場合、指令の必須要求事項に整合する技術標準を策定するように欧州の規格団(CEN、CENELEC、およびETSI)に指示します。製品に整合規格が存在するかどうかを確認には、欧州委員会の公式ウェブサイトwww.newapproach.orgにアクセスしてください。整合規格に準拠する製品は、該当する指令の必須要件に準拠していると見なされます。これらの整合規格の内容と可用性については、次の組織が管理しています。

その他の規格

製造者は、指令の必須要件への準拠を推定証明するために、整合規格以外の規格に頼らなければならない場合もあります。ただし、指令の中には(例えば、建設機器指令)整合規格の使用を義務化しているものもあります。

欧州委員会のブルーガイド

欧州委員会は、特定の指令の適用に関する詳細なガイドラインを提供しています。これには、指令の基本的な要件の解釈に関する詳細も含まれます。これらのガイドラインには法的な拘束力はありませんが、指令の内容の解釈に有効です。

整合規格(EN規格)を準備してください

実際に整合規格を買い揃えるには、5万円から20万円の費用がかかります。高価な規格の購入にためらうかもしれませんが、企業の投資と考えてください。製造者は指令の必須要件を満たすために整合規格を必ずしも購入する必要はありませんが、欧州当局は、製品が必須要件を満たしているかどうかを判断に整合規格を使用します。当局が使用する規格と同じもので評価することは、製品が指令の基本的な要件を満たしているかどうかについての技術的な抗弁に役立ちます。指令の必須要求事項は、抽象的な部分が多く、技術的な解釈が曖昧な部分が多くあります。
製品に適用可能な指令および整合規格で必須要件を特定したら、製品が該当する要件を満たしているかどうかを確認し次のステップに進みましょう。

 

ステップ3 認証機関の要否の確認

認証機関(ノーティファイドボディ)のテストや評価による製品の認証が必要があるかどうか判断します。一部の指令では、製品が該当する必須要件事項に準拠していることを確認するために、認証機関(ノーティファイドボディ)による製品のテストと評価が必要です。適用される指令が認証機関(ノーティファイドボディ)を必要としない場合、製造者自身が製品の適合性を評価することができます。

認証機関(ノーティファイドボディ)とは?

指令に定められた必須要件事項への製品の適合性を評価するために欧州当局によって承認された団体です。認証機関(ノーティファイドボディ)の役割のひとつが、製造者がステップ1と2が完了していることを確認することです。
一部の指令は、製造者が、製品の評価に認証機関(ノーティファイドボディ)の関与することを要求しています。これらの指令には、医療機器指令、爆発の可能性のある雰囲気の機器指令、圧力機器指令、ガス燃焼機器指令、や単純圧力容器指令があります。

他の指令では、製造者が、整合規格を使用して該当する必須要件事項への適合を判断する場合、認証機関(ノーティファイドボディ)の関与することを要求していません。一方、製造者が該当する整合規格を使用しないまたはできない場合は、これらの指令の対象となる一部の製品には認証機関(ノーティファイドボディ)の関与が必要になります。例えば、機械指令や玩具の安全指令がこれに含まれます。
認証機関(ノーティファイドボディ)を必要とする製品はそれほど多くはありません。例えば、低電圧指令の場合には、例えば、認証機関(ノーティファイドボディ)を必要としません。欧州当局は、自社の製品が準拠していることを証明するために、製造者にますます責任を課しています。

 

ステップ4 評価の実施

次に、製造者は、製品が実際に適合していることをテストして文書化する必要があります。各指令は、製造業者が実施できる適合性評価手順(モジュール)の概要を示しています。CEマーキングには、8つの適合性評価モジュールがあります。該当する指令には、特定の製品カテゴリに適用されるモジュールの概要が示されています。

モジュールA以外の場合は、何らかの形で第三者機関が関与することになります。

  • モジュールA:内部生産管理(自己認証
  • モジュールB:EC型式検査
  • モジュールC:形式への適合
  • モジュールD:生産品質保証
  • モジュールE:製品品質保証
  • モジュールF:製品の検証
  • モジュールG:ユニット検証
  • モジュールH:完全な品質保証(EN ISO 9001 )

 

製造者による適合性の評価

製造者は、試験設備の利用のために試験所(例えば、EMC試験所)に試験を依頼することができます。この場合の費用は、技術指導や認証そのものではなく、実試験や評価の判断材料となるテストレポート作成に対してのみ費用を支払うことになります。認証機関(ノーティファイドボディ)には、関連会社に試験所(例えば、EMC試験所)を持つ場合も多くあります。
一方、製品をテストするために必要な設備が自社にあれば、企業は製品の適合性を自ら評価することができます。この方法は、外部に試験を依頼するより、はるかに早く安価に行えます。

試験所(例えば、EMC試験所)を使用して適合性を評価し、製品を認証することがありますが、最終的な欧州指令への製品の適合性については、製造者は責任を負います。

認証機関(ノーティファイドボディ)による適合性の評価

CEマーキングに関する欧州指令への適合性評価は、製品テスト、目視検査、リスクアセスメント、製品ラベルと指示のレビューなど、さまざまな評価で構成されています。認証機関(ノーティファイドボディ)が適合性の評価に関与した場合の一般的な手順は次になります。

  • 製品の設計、製造、操作に関連する技術文書のレビュー
  • 各製品の代表的な標本の1つ以上の特定のテスト
  • メーカーの生産品質システムの評価
  • 製品ユニットの適合性の継続的な検証


<ポイント>

多くの指令では、製造者は、たとえ同じ製品であっても異なる適合性評価手順の中から選択することができます。多くの選択肢を知ることで、時間とお金を大幅に節約できます。

製品はテストが完了し、関連するすべての指令に適合した後に次のステップに進みます。

 

手順5 技術文書の作成

すべてのCEマーキング指令は、製造者に、製品が指令の要件に適合していることを示す情報を含む技術文書(または技術ファイル)を作成して利用できるようにする義務を課しています。

技術文書

CEマークを表示した製品に関連する技術文書は、指令が特別に規定していない限り、製品の最終製造日から少なくとも10年間保管する必要があります。技術文書は、要求に応じて関係当局に提供される必要があり、多くの場合、短期間で提供を求められます。また、製品が変更された場合や新しい適合性評価手順が適用される場合は、技術文書を最新の状態に保つ必要があります。

翻訳

欧州指令や各国の法律により、取扱説明書などの情報は、輸出した国の公用語に翻訳することが義務付けられています。一方、技術文書は任意の欧州公用語(一般には英語)でかまいません。技術資料の提出時に、当局から、その国の公用語への翻訳を求められる場合がありますが、その時に対応すれば済む話です。

技術文書の場所

多くの指令では、技術文書を欧州に置く必要はありません。しかし、EUの輸入業者は、その技術文書を欧州の関連当局に提供するようにする必要があります。一方、機械指令の場合は、欧州域内に本部を置く、編纂(コンパイル)する者が必要とされています、この編纂者はCEマーキングの法的責任を負わないため、欧州に拠点を持たない企業のためにテクニカルファイルを保管するサービスを行っている企業もあります。うわさ話ですが、実際に市場監督当局からの要請に応じてテクニカルファイルを提供する時に多額の手数料を製造者に要求する悪徳企業もあると聞きます。もしテクニカルファイルを編纂(コンパイル)の委任する場合は信頼できる企業であることを確認することをお勧めします。

手順6 適合宣言とCEマークの貼付

EU適合宣言書

CEマーキング指令への準拠を証明する文書は、適合宣言です。適合宣言は、該当する指令への製品の法令順所に責任があることを製造者が宣言したものです。この宣言書は製造業者の唯一の責任者であり、適合宣言の確立は法的義務です。宣言書は、欧州通関時に当局が利用できるようにする必要があります。

 

EU適合宣言書の作成ガイドを販売しています。

 

CEマークの表示

 

製品が関連する指令のすべての規定に準拠していることを確認するために、適合性評価手順が完了するまで、CEマークは添付できません。これは通常、生産の最終段階になります。CEマークは、製品を欧州域内で販売できるように表示するマークです。このマークは、欧州指令のいずれかに該当する製品には必須になっています。CEマークは、該当するすべての欧州加盟国の健康、安全、環境の要件への製品の準拠に対して製造業者が責任を負うことを意味します。

f:id:msdco:20200728232510j:plain

CEマーキングは、一般的には製品の製造銘鈑に表示します。CEマークは、すべての関係者が簡単に見られ、確認できる必要があります。したがって、製品の裏側や下側に貼り付けることも可能です。読みやすいように、最低5 mmの高さが必要です。また、目立つ痕跡を残さずに通常の状況で削除できないように、それは消えないものでなければなりません。

CEマークには、認証機関(ノーティファイドボディ)の識別番号が後に続く場合があります。認証機関(ノーティファイドボディ)の識別番号は、その認証機関(ノーティファイドボディ)が製品の生産フェーズに関与した場に追加されます。

  

MSDコンサルティング