機械安全の法律・規格と設計手法

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CEマーキングの自己認証、第三者認証、自己宣言の違い|認証機関(ノーティファイドボディ)の関与の有無が、「自己認証」、「第三者認証」の違いです。一方、どちらの場合でも、製造者自身がEU適合宣言書を作成する「自己宣言(self declaration)」であることに変わりはありません。

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認証機関(ノーティファイドボディ)の関与の有無が、「自己認証」、「第三者認証」の違いです。一方、どちらの場合でも、製造者自身がEU適合宣言書を作成する「自己宣言(self declaration)」であることに変わりはありません。


CEマーキングにおいて、製造者自身が指令や整合規格などへの適合や技術文書の整備等を行い、製造者自身がEU適合宣言を自己宣言する方法を「自己認証(Self Assessment / Self certification)」といいます。

一方、製品のEC型式審査が必要な場合に、認証機関(ノーティファイドボディ)に製品や技術文書等を提出して証明を依頼したり、製造品質保証や製品品質保証に関して、認証機関した後に製造者自身がEU適合宣言を自己宣言する方法を「第三者認証(third party assessment / third party certification)」といいます。

認証機関(ノーティファイドボディ)の関与の有無が、「自己認証」、「第三者認証」の違いです。一方、どちらの場合でも、製造者自身がEU適合宣言書を作成する「自己宣言(self declaration)」であることに変わりはありません

 

簡単に示すと次になります。

  • 自己認証(モジュールA) ⇔  第三者認証(モジュールA以外)
  • 自己宣言(自己認証で適合宣言)≒ 自己認証 

 

モジュールAは、「内部生産管理」と呼ばれる、製品が指令に適合していることを自己評価できるルートです。指令ごとに、準備すべき技術構造ファイルの内容が決まっているため、該当すべき指令を熟読し、技術構造ファイルと適合宣言書を作成し、CEマーキングを表示することができます。

 

「自己認証(Self Assessment / Self certification)」とは

CEマーキングの整合性確認を自分自身で行うことを「自己認証」と呼んでいます。機械指令、低電圧指令、EMC指令、RED指令の場合、製品の仕様にもよりますが、適合性の確認を自身が実施すること(モジュールA)が可能な場合が多くあります。これを「自己認証」と読んでいます。実は、CEマーキングが必要な製品の8割以上はこの自己認証でEU適合宣言が可能な製品です。

欧州、米国、中国の多くの製造者は、自己認証(モジュールA)を利用しています。このことを熟知している技術力のある日本の大手製造者の場合も、認証機関(ノーティファイドボディ)は、最終的には製品に対しての責任は取らないことを知っているので、自己認証(モジュールA)で対応しています。

参考に、自己認証の可能性がある指令を次に示します。

  • 機械指令
  • 低電圧指令
  • EMC指令
  • RoHS指令
  • 無線機器指令

 

「第三者認証(third party assessment / third party certification)」とは

自身が適合性評価を行うのではなく、欧州の認証機関(ノーティファイドボディ)が適合性の評価を行うことです。比較的リスクが高い製品やその指令の場合はこの認証機関(ノーティファイドボディ)による評価が必要になります。重要なポイントを1点伝えます。たとえ認証機関(ノーティファイドボディ)による評価が行われていたとしても、製品に不適合が見つかった場合は全責任は製造者が負うことになります。

第三者認証は「型式審査」のために、試験費だけでなく、審査費、証明費、管理費(手数料)が発生します。また、日本支店を通して認証になる場合には、欧州本社の認証機関(ノーティファイドボディ)のスケジュールなどの都合でかなりの期間が掛かります。

 

「自己宣言」は正式用語では無い

CEマーキングでは自己宣言(self declaration)という言葉は存在しません。何故ならCEマーキングの適合宣言が可能な者は、製造者と委任代理人のみだからです。第三者機関が適合宣言を行うことはできない(第三者宣言は存在しない)ので、あえて「自己」と表現をするのがおかしいためです。ちなみに、CEマーキングの宣言書は、EU適合宣言書(declaration of conformity: DoC)と呼ばれています。

 

<2020/11/23追記>

 UKCAの各安全規則のガイドで「Self-declaration:自己宣言」という言葉を見つけました。「第三者認証」ではなく「自己認証」による「適合宣言」という意味合いで使われていました。英国人の一般の人にとっては、日本人と同様に「自己宣言」と呼んだほうが理解しやすいようですね。 

 

MSDコンサルタント