機械安全の法律・規格と設計手法

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欧州REACH規則|安全データシート|化学物質

欧州 REACH改正規則(EU) No 2020/878 SDSに対する要件を定める付属書IIが改正されました。この規則は2021年1月1日から適用されます。ただし、修正後の附属書IIに準拠していない安全データシート(SDS:safety data sheets)は、2022年12月31日まで継続して提供することができるとされており、移行期間が設定されています。

主な改正ポイント

  • 「化学品の分類及び表示に関する世界調和化システム(GHS)」の改訂7版のSDSの規定に適合させる
  • CLP規則「附属書VIII(緊急時の健康対応及び予防措置に関係する調和化された情報)」はに関連する改正。
  • 「ナノフォームの物質(nanoforms of substances)」に関する要件に関連する改正。

 

REACH

REACH (Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction ofChemicals)規則とは、化学物質の登録・評価・認可・制限に関する欧州規則です。人々の健康や環境保護、欧州加盟国の産業競争力の維持向上を目的にしています。欧州域内に輸入される化学物質の登録を義務付け、有害性を評価した結果から、その物質を認可したり制限を加える規則であり、有害性が懸念される高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concerns)まで管理対象となるため、膨大な種類の化学物質への対応が必要になっています。

REACH - Wikipedia(外部リンク)

 

SDS

安全データシート( Safety Data Sheet: SDS)とは、化学品の危険有害性、安全な取り扱い、緊急時の対応等の情報を伝達する重要な標準書式であり、世界中で整備が進んでいます。一方、その運用や要求事項の細部ではその国独自の規定が設けられています。欧州ではCLP/REACH規則等に準拠した記載内容と要求項目を定られており、欧州REACH規則では一定以上の要件を満たす化学物質についてはSDSにその安全な使用取扱用途の条件を記載した曝露シナリオの添付が求められます。

欧州におけるSDS制度

欧州では、①REACH規則とCLP規則に従ってSDSを作成する必要があります。

  • 輸出先の公用語で作成する。欧州加盟国では、非常に多くの言語が公用語として使用されています。例えば、同じ製品をドイツ、フランス、イギリス、イタリアの4か国に流通させる予定の場合、4か国語で作成する必要があります。
  • CLPによる調和分類に従う。CLP規則では、調和分類(Harmonized Classification)のインベントリーが存在し、このインベントリーに記載されている物質の場合、その危険有害性の分類結果に従う必要があります。一方、欧州における分類は世界共通ではないため、欧州域外との間でGHS/CLP分類結果が異なることになる必要があります。そのため、欧州向けSDSを作成する場合は、CLPのインベントリーの調査が必要になります。 

 

 

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