機械安全の法律・規格と設計手法

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MECE(ミーシー)を使う目的|相手にわかりやすく伝えるために

日頃は安全のことの話をしていますが、今日は「相手にわかりやすく伝える」ための技術を紹介します。私自身は、文章を書くのはどちらかといえば苦手ですが、仕事柄そんなことは言っていられません。だから、技術者として文章の書き方を論理的に学んできました。その一部を紹介してみます。

 

MECE(ミーシー)とは
MECE
とは、日本語では「モレなく、ダブりなく」と訳される、Mutually(互いに) 、Exclusive(排他的で) 、Collectively(集合体は)、Exhaustive(包括的) の頭文字を取ったロジカルシンキングの用語です。MECEは、問題の根本原因を突き止めるための情報の整理方法として経営コンサルティング会社が使用するツールです。複雑な問題を体系的に解決のためにカテゴリに分類して理解する必要がある場合に重複を避け、問題を解決するための手段を明確にするのに役立っています。

 

バーバラ・ミント
彼女は、ハーバード・ビジネススクール卒業後、コンサルティング会社のマッキンゼー社に最初の女性MBAとして入社しました。後に文書作成に関する能力が認められ指導責任者となった彼女は、1973年に独立しコンサルティング会社や米国の大手企業にレポート作成、分析、プレゼンテーションの指導してきました。現代のほとんどのコンサルティング会社が現在もなお使用しているロジカルシンキングの2つの原則である。MECEの原則(mutually exclusive and collectively exhaustive)とピラミッドの原(Pyramid Principle)を発見したのは彼女です。

バーバラ・ミントは彼女の著書 である ”The Pyramid Principle: Logic in Writing and Thinking” の中でより明確に書くことの重要性を説いています。彼女はこうも言っています「問題は言語ではなく思考でした」「多くの人々は書く前に考えを練らずに書き始めているのです。では、自分の考えを書き始める前に把握するにはどうすればよいのでしょうか?」

 

MECEの原則を知る
さて、今回は、MECEの原則(mutually exclusive and collectively exhaustive)に考えていきます。MECEの原則の概要ついては次のYouTubeをご覧ください。

MECEの原則については、多くのブログ・YouTubeで紹介されていますが、残念なことに多くの解説が、漏れやダブりをなくすためにどうすれば良いかの説明に終始しています。そこでこのブログでは、実際にどのようにMECE(ミーシー)を使っていけばよいのか?  MECE(ミーシー)を使う目的について考えてみたいと思います。MECEを使う目的は大きく分けると2つです。ひとつは問題解決のため、もうひとつは説得力を高めるためです。

 

MECEを使う目的はふたつ


①問題解決のためのMECE
MECEの原則を用いることで、今までの考え方から一歩離れた位置から俯瞰的に課題を捉えることができます。人間は、問題解決をする場合に、これまでの経験から知っている情報の中から答えを導き出そうとします。これではいくら時間をかけて考えても、これまで知っているものと変わらない結果しか出てきません。それではせっかく問題解決にかけた時間も無駄になってしまいます。そのような場合にMECEを用いれば、例えば、分類された対象を俯瞰的にに眺めて思考の漏れの部分に気付いたり、分類方法を変えみて解決の糸口を見つけ出すことで、よりよい解決のアプローチが可能になります。

 

②説得力を高めるためのMECE
2つ目の目的は、相手を動かすため説得力を高めることです。MECEを意識して話を展開させていくことで、体系的に理解しやすい説明ができますしかしMECEを使うのは、あくまで相手が理解し易い資料にするためです。MECEを使ったから説得力がある資料になるとは言い切れないのです。MECEを使えばロジカルな資料になるとの誤解が多くみられますが、体系化するためのひとつのテクニックであってMECEの原則に沿っていなくても相手を納得させることができる資料は多くあります。繰り返しになりますが、MECEはあくまで道具でしかなく、MECEを使えば、簡単にその資料が論理的でわかり易くなるわけではありません。

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