機械安全の法律・規格と設計手法

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昇降台のリスク(建設用リフト、ゴンドラ、エレベータ)|機械指令の基本的な健康と安全の要件(EHSR)

機械指令の基本的な健康と安全の要件 Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から6.4.1の「昇降台のリスク(建設用リフト、ゴンドラ、エレベータ)」について解説します。

ポイントは、

  • 建設用リフト、ゴンドラ、エレベーターなどの昇降台の扉には、固定物や可動物との接触や墜落を防ぐためインターロックによる保護装置が必要です。
  • 昇降台は、最大積載負荷と最大速度において危険生じない停止能力が必要です。
  • 昇降台や到着フロアのガードや扉は、その機械の使用目的を考慮して設計しなければなりません。

この項目は、主に人や荷の昇降に用いる建設用リフト、ゴンドラ、エレベータなどの昇降台、例えば、タワークレーンや風力発電機などの機械に接続された昇降台についてのリスクの説明です。

原文
6.4. MACHINERY SERVING FIXED LANDINGS
6.4.1 Risks to persons in or on the carrier
The carrier must be designed and constructed in such a way as to prevent risks due to contact between persons and/or objects in or on the carrier with any fixed or moving elements. Where necessary in order to fulfil this requirement, the carrier itself must be completely enclosed with doors fitted with an interlocking device that prevents hazardous movements of the carrier unless the doors are closed. The doors must remain closed if the
carrier stops between landings where there is a risk of falling from the carrier.
The machinery must be designed, constructed and, where necessary, equipped with devices in such a way as to prevent uncontrolled upward or downward movement of the carrier.
These devices must be able to stop the carrier at its maximum working load and at the foreseeable maximum speed.
The stopping action must not cause deceleration harmful to the occupants, whatever the load conditions.

6.4.2 Controls at landings
Controls, other than those for emergency use, at landings must not initiate movements of the carrier when:
— the control devices in the carrier are being operated,
— the carrier is not at a landing.

6.4.3 Access to the carrier
The guards at the landings and on the carrier must be designed and constructed in such a way as to ensure safe transfer to and from the carrier, taking into consideration the foreseeable range of goods and persons to be lifted.

6.5 MARKINGS
The carrier must bear the information necessary to ensure safety including:
— the number of persons permitted on the carrier,
— the maximum working load.

 

和訳
6.4. 固定式の荷の昇降に使用する機械
6.4.1 昇降台内や昇降台上の人に対するリスク
昇降台は、昇降台内や昇降台上の人や荷物が何らかの固定または可動の要素部品との接触による生じるリスクを防止するように設計・製造されなければなりません。この要求事項を満たすために、昇降台は、扉が閉まるまでは昇降開始の危険な動きを防止するインターロック付きの扉で完全に囲まなければなりません。昇降台から墜落する危険性がある場合には、扉は、昇降台が昇降途中で停止したとしても閉じられたままでなければなりません。
昇降機は、昇降台の制御されない昇降を防止するように設計・製造し、そのための装置を設置しなければなりません。
また、これらの装置は、予見される最大積載重量と最大速度においては昇降台を停止させることができるものでなければなりません。
積載重量の状態にかかわらず、停止動作は、搭乗者に対して危険な減速を引き起こしてはなりません。

6.4.2到着場所での制御
緊急時以外において、到着場所の制御については、次の場合において荷台の動きを開始してはいけません。
—昇降台内の制御装置が操作されている場合
—昇降台が到着場所にない場合

6.4.3昇降台への乗り降り
到着場所場や昇降台上のガードは、予想される持ち上げ物品と搭乗者の範囲を考慮して、昇降台への搭乗又昇降台からの降りる時に安全に移動ができるように設計および製造されなければりません。

6.5表示
昇降台には、安全を確保するために次の情報を表示しなければなりません。
—荷台に許可されている搭乗人数、
—最大積載負荷。

  

昇降台内や昇降台上の人や荷物と固定要素や可動要素が接触する危険を防止するために必要な保護措置を講じなければなりません。たとえば、建設現場のホイストなどの高速で移動する昇降台を備えた機械の場合には、昇降台に完全な囲い(エンクロージャー)必要です。このような昇降機の場合、扉が閉じるまで昇降台が動かないように、扉にインターロック装置を取り付けなければなりません。また、昇降途中で停止した場合に昇降台からの墜落のリスクがある場合には、昇降台は目的場所に到着するまで扉が開かないようにインターロックを取り付ける必要があります。

また、昇降台と積載重量による下向きの力とカウンターウェイトによる上向きの力が制御されないリスクがあります。これらのリスクを防ぐためにリフトには、そのような制御されていない状態を検出し、昇降台を安全に停止するための装置が必要です。

昇降台や到着場所のガードや扉は、昇降機の使用目的を考慮して設計しなければなりません。たとえば、商品を運ぶまたは搭乗者による使用、子供の使用、身体の不自由な人や車椅子の使用者なども考慮対象です。昇降台と搭乗場所に隙間があることによる、乗り降りのリスクを防ぐために、隙間を十分に小さくまたは隙間を保護する必要があります。

昇降台内または昇降台上の人が到着場所での乗り降りを開始したときに、第三者が昇降台の移動をできないようにしなければなりません。また、緊急時に安全に到着させるための手段を講じなければなりません。 

最大積載重量は、荷台に表示しなければなりません。 また、昇降台で許可されている搭乗人数も表示しなければなりません。その他の情報には、非常時に行うべき措置や非常通信機器の正しい使い方が含まれます。

 

 

MSDコンサルティング