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機械指令と低電圧指令の判別は? (その2)|CEマーキング

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機械指令と低電圧指令の判別は? (その1)の続きです。

前回の記事は ↓ を読んでください

 

機械指令 2006/42/ECの第1条(2)(K)の規定に基づいて、機械指令と低電圧指令の判別を行ってみましょう。

機械指令 2006/42/ECの第1条(2)(K)には、次の除外規定があります。

以下製品は、低電圧指令に該当します。

 

以下に掲げる範囲に該当する電気製品および電子製品で、特定の電圧範囲内で使用するよう設計された電気機器の加盟国の法令の調和についての1973年2月19日付理事会指令73/23/EEC(現在の低電圧指令2014/35/EU)によってカバーされるもの:
- 家庭用電化製品
- 音響映像機器
- 情報技術機器
- 通常の事務機器
- 低電圧の開閉装置および制御装置
- 電動機(モータ);

 

それぞれ詳しく確認していきましょう。

家庭用電化製品
  • 家庭用電化製品は、洗濯や掃除、調理等の家事機能を意図した製品を意図しています。
  • 「家庭用」とは、消費者個人用の用途であるという意味です。家庭用以外の業務用を意図した電化製品は機械指定が適用されます。(参照:機械指令ガイドの§64)
  • ただし、商店や事務所などの一般消費用やホテルで使用される顧客用の家電製品は家庭用とみなすことができます。(参照:低電圧指令ガイド 付属書III)
  • 家庭用を意図したものであるかどうかの判断は、製品情報(カタログや取扱説明書)や宣言書に記載された用途が考慮されます。(参照:機械指令ガイドの§64)
  • 家庭用であっても、電動工具やガーデニング用の電化製品は、機械指令が適用されます。(参照:機械指令ガイドの§64)
  • 家庭用機器ではない電動ベッドや、電動椅子は機械指令の対象となりますが、それらが医療現場での使用を意図している場合は、医療機器規則が優先されます。

ポイント

家電製品であっても、それらが商業用又は工業用での使用を意図している場合は、低電圧指令には該当しません、あくまで家庭内で消費者が使用する事を意図した製品のみが低電圧指令の対象になります。

音響映像機器
  • 音響映像機器は、ラジオやレコーダ、プロジェクタ等の製品が該当します。
情報技術機器
  • データや情報処理、変換等に用いられる機器が該当し、具体的には、電話や電気通信機器が製品例となります。
  • ただし、プログラマブル電子制御システム(PLC等)の様な機械に組み込まれる事を意図した電子機器は、機械指令が適用されます。(参照:機械指令ガイドの§66)
  • また、情報技術機器であっても、機械の安全構成部品を組み込んでいる様な製品の場合、機械指令の対象となる可能性が高くなります。
 通常の事務機器
  • プリンター、コピー機、ホッチキス等の事務所で使用する事を意図した電気機器に適用されます。
  • ただし、業務用で使用される事を意図した印刷機・紙工機械は、機械指令2006/42/ECの適用範囲となります。(参照:機械指令ガイドの§67)
  • また、家庭、事務所、実験室で使われる3D造形装置や3Dプリンターは、事務所で使われたとしても機械指令の対象になります。(参照:機械指令ガイドの§67)
  • また、事務所で使用される電気機器であっても、電動のリクライニングチェア等の電動式オフィス家具は、機械指令の対象になります。(参照:機械指令ガイドの§67)
低電圧の開閉装置および制御装置 
  • 低電圧開閉装置および制御装置とは、装置が使用する電気の制御の為に電気回路と関連する制御、測定及び調整装置の開閉を行う為の装置を指します。
  • また、機械に組み込まれる場合は、機械指令の付属書I(必須要求事項)に適合しなければなりません。(参照:機械指令ガイドの§68)
電動機(モータ)
  • 電動モーターは、低電圧指令の対象となります。これは、特別な適用条件や駆動システムの無い電動モーター単体に適用されるものです。
  • また、この適用除外は電動発電機にも適用されますが、エンジン等の機械的エネルギー源と発電機から構成される発電機は機械指令の対象となります。
  • なお、ATEX(防爆)指令の適用範囲となるモータは、低電圧指令の適用範囲から外れる為、機械指令の適用が必要になります。

最後に

製品が機械指令に該当するのか、低電圧指令に該当するのかを判断が難しい場合があります。このブログを読み終わっても確信が持てない場合は、専門家に相談することをお勧めします。なお、主に企業向けを意図して販売する製品で、機械に組み込む必要はなく、そのまま使用できる製品は、低電圧指令である可能性は低いと考えてください。

 

 

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