機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

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EU適合宣言書|CEマーキング

 

EU適合宣言書とは、製品が、EU指令で要求される健康と安全と環境の全ての必須要求事項(Essential Requirements )に適合していることを示す法的な文書です。製造者または EU 域内に設立された委任代理人は、EU 指令で規定された適合性評価手続きの中で適合宣言書を作成し署名しなければなりません。 署名することで製造者は、製品の適合性に対し全ての責任を負ことになります。EU適合宣言書は、テクニカルファイル(技術文書)ができあがった後に作成します。また、CEマークを製品に貼りつけるためには、必ず作成しなければならない文書です。また、テクニカルファイルの場合と同様に、製品の上市日から10年間保管しなければなりません。

適合宣言書の項目

各EU指令ごとにEU適合宣言書に明記が必要な項目は異なりますが、少なくとも次の内容が含まれています。

  1. 製品の番号は製品、バッチ、型式、またはシリアル番号など
  2. 製造者または委任代理人の名称と完全な住所
  3. 適合宣言書は、製造者の全責任の下で発行される旨の声明
  4. トレーサビリティーを可能にする製品識別情報
  5. 適合した全てのEU整合法令、参照規格または他の技術仕様
  6. 評価に使用された整合規格
  7. EU指令特有の追加情報(必要ならば)
  8. 代表者の名前と役職
  9. 日付とサイン

 

EU適合宣言書の代表的なモデルが、768/2008/ECの付属書Ⅲの宣言書モデルで示されています。EU適合宣言(DoC)

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複数の指令に適合している場合

通常の製品の場合、該当するEU指令は複数になります。たとえば、工作機械の場合は、機械指令、EMC指令、RoHS指令の3つの指令が該当すると考えられます。しかし、製品が複数のEU指令に該当する場合でも、作成するEU適合宣言書は1部だけです。

 

EU適合宣言書の言語は?

EU適合宣言書は、日本語で作成することは認められていません。欧州域内の公用語の1つで作成することが定められています。通常は英語になるでしょう。ただし、EU適合宣言書の言語と納入国の公用語が異なる場合は、納入する国の公用語の翻訳版も作成しなければなりません。ちなみに、欧州域内で英語が公用語なのはイギリスのみです。よって英語でEU適合宣言書を作成した場合は、輸出先がイギリス以外の国ならば、その国の公用語の翻訳版が必要です。

 

安全性の保証ではありません

適合宣言書は、品質証明書や安全性の保証ではありません。しかし、製品のCEマークとともに適切に作成された宣言書は、記載されている指令への適合性に関して製造者の責任を示すものです。また、適合宣言書は、国内市場監視当局の要求に応じて利用できるようにする必要があります。宣言が利用できないか無効である場合、市場当局は製品をリコールし、罰金を発行し、製品を市場に出した人は懲役に処せられる可能性があります。

 

注意点

すべての製品に対して使用できる適合宣言書の雛型は存在しません。製品の該当する指令を確認した上で作成しましょう。安易にインターネットで見つけた適合宣言書のモデルを利用して輸出するのではなく、しっかり該当指令の要求に沿った適合宣言書を作成ましょう。 

 

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