機械安全の法律・規格と設計手法

安全な製品を設計・製造するために必要な法律・規格の情報を紹介しています。

メニュー

欧州 コンパイラ(編纂者)サービス| 機械指令

コンパイラ(編纂者)サービスの紹介をします。

機械指令には、テクニカルファイルの管理を行う欧州に設立されたコンパイラ(編纂者)という役割の個人や法人を定めなければならないことになっています。一般的には、代理店または現地事務所がその役割を負いますが、そのようなものがいない企業向けにコンパイラ(編纂者)サービスというものがあります。ここでは、その業務内容を紹介します。

なぜ、コンパイラが必要なのか?

機械指令では、EC適合宣言書に、機械のテクニカルァイルをコンパイル(編纂)し、テクニカルファイルを提供するために欧州域内に設立した自然人または法人の名前と住所を記載する必要があります。

コンパイラサービスの特徴

  • コンパイラ(編纂者)は、欧州域内に設立された企業が所有するサーバ内に、欧州域外の製造者が作成した「テクニカルファイル」のデータ(例えばPDF形式の文書)の保管場所を提供します。
  • コンパイラ(編纂者)と契約を結ぶことで、欧州域外の製造者は、機械指令のEC適合宣言書に、コンパイラ(編纂者)としてこの企業の名前と住所を記入することができます。
  • 2021年7月16日から適用される欧州規則(EU)2019/1020のに対応して欧州域外の製造者の委任代理人になることも可能とうたっている企業も多いのですが、機械指令での委任代理人とは異なり、テクニカルファイルが存在(アップロード)していることの確認、および当局にテクニカルファイルを提供しするだけの責任しか負いません。
  • コンパイラ(編纂者)サービスは、販売、サービス、保証、または製品に関連する一切の責任を負わないのが一般的です。
  • 基本契約期間は10年または1年ごとの更新が一般的なようです。契約が失効すると、テクニカルファイルを当局へ提供するサービスは行われません。

サービス利用の注意点

ここからは、私からの注意喚起と個人的な見解です。

契約内容を十分に確認すること

実際に市場監督当局からの要請に応じてテクニカルファイルを提供する時に、提出要求されたテクニカルファイルを人質に多額の追加手数料を製造者に要求する悪徳コンパイラ(編纂者)もあると聞きます。もしテクニカルファイルのコンパイル(編纂)の委任する場合は信頼できる企業であることを、そして料金に関する契約内容を十分に確認することをお勧めします。

当局との窓口を明確にする

コンパイラ(編纂者)とは、実質的に、当局がテクニカルファイルの提出を要求する時の欧州の窓口になる者と認識しています。たとえば、産業機械の場合には、販売後のアフターサービスを行う欧州の法人に編纂者になってもらうのも、ひとつの方法だと考えます。編纂者(窓口)には、EC適合宣言書を預けるにしても、テクニカルファイルを預ける必要はなく、日本の製造者でテクニカルファイルを保管し、当局から要請があればテクニカルファイルの電子データを編纂者(窓口)経由で当局に提出する「仕組みが確立さえしていれば」問題ないと考えています。

 

MDSコンサルティング