機械安全の法律・規格と設計手法

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原動機、回転軸等による危険の防止|労働安全衛生規則の中から技術者が知っておかなければならない安全方策を解説します。


原動機、回転軸等による危険の防止について、労働安全衛生規則の中から技術者が知っておかなければならない安全方策を解説します。

原動機、回転軸等による危険の防止について説明します。

 

労働安全衛生規則
第2編 安全基準 第1章 機械による危険の防止
原動機、回転軸等による危険の防止
第101条

  1. 事業者は、機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等の労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い、スリーブ、踏切橋等を設けなければならない。
  2. 事業者は、回転軸、歯車、プーリー、フライホイール等に附属する止め具については、埋頭型のものを使用し、又は覆いを設けなければならない。
  3. 事業者は、ベルトの継目には、突出した止め具を使用してはならない。
  4. 事業者は、第1項の踏切橋には、高さが90センチメートル以上の手すりを設けなければならない。
  5. 労働者は、踏切橋の設備があるときは、踏切橋を使用しなければならない

 

https://observatory.db.erau.edu/generators/pictograms/thumbs/aem-0012-gears.png

機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルトには、必ず、ガード覆い囲いスリーブ踏切橋)を設けなければなりません。「はさまれ・巻き込まれ」の危険源には、ガード等の保護方策を実施しなければならないということです。この項目のポイントは、安全方策として作業者に保護具を使用を認めていないことです
「はさまれ・巻き込まれ」の危険源に対しては、手袋による保護は効果が無い、むしろ引き込まれの危険性が増してしまうからです。

 

https://observatory.db.erau.edu/generators/pictograms/thumbs/aem-0018-auger.png

回転軸、歯車、プーリー、フライホイール等に附属する止め具は、埋頭型の使用や覆いを設けなければなりません。また、ベルトの継目には、突出した止め具を使用してはいけません。回転軸類の表面の突起は、「引き込み・捕捉」の危険源になるからです。言い換えれば、表面の突起による「引き込み・捕捉」の危険源がない表面が滑らかな回転軸の表面は危険性が少ないことも示しています
一般的には、滑らかな表面とは、4㎜以下の凹凸の表面を言います。

 

https://observatory.db.erau.edu/generators/pictograms/thumbs/aem-0034-falling_from_height.png

労働安全衛生規則では、踏切橋には、高さが90センチメートル以上の手すりを設けなければならならないとされています。歩行面での転倒や墜落により原動機、回転軸の危険源への接触を防ぐことを目的にしています。

一方、JIS規格の水平防護柵(JIS B 9713-3) では、次の寸法の墜落防止柵を設置することを規定しています。労働安全衛生規則は、最低限の要求事項であり、実際の設計では次の要求を満足する墜落防止柵を設置してください。

  • 柵を上方を超えての墜落防止のために手すりの高さ1,100㎜以上
  • 開口部からの墜落を防ぐために中さん等を設置し開口部の高さは500㎜以下
  • 転倒による墜落を防ぐために100㎜以上つま先板を設置
  • 床面の水抜き等の隙間が必要な場合は10㎜以下

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 「踏切橋」とは

次のような、機械の駆動軸やコンベアなどを乗り越えて反対側にわたるものです。道路や鉄道を安全に横断するための簡易な歩道橋をイメージすれば良いと思います。

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田中鉄工所|製品紹介より

 

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