機械安全の法律・規格と設計手法

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非電離放射線の情報(取扱説明書)|機械指令の基本的な健康と安全の要件(EHSR)

非電離放射線(Non-ionizing radiation: NIR)は、電場と磁場で構成される一連のエネルギー波です。非電離放射線には、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、無線周波数や極低周波などです。たとえば、レーザーの場合は通常、紫外線、可視光線、赤外線が含まれています。

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機械指令の基本的な健康と安全の要求事項は、

  • 非電離放射線は、日常生活の中で広範囲に存在し、潜在的に被ばくした作業者に健康リスクをもたらす可能性がある。
  • 製造者は、電波機器の利用者、植込み型医療機器の装着者の双方が影響の発生・防止に関 する情報を共有をしなければならない。

機械指令の基本的な健康と安全の要件 Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から1.7.4.3 v) の「非電離放射線の情報」について解説します。

 1.7.4.2 取扱説明書の内容(続き)
v)機械類が人に危害を及ぼす非イオン化放射を放出する可能性があり、特に埋め込み医療機器を使用している人に害を及ぼす可能性がある場合には、操作者又は露座者に対して放出される放射についての情報を提供しなければいけません。

 

一方、遠紫外線、X線、ガンマ線や放射性崩壊から発生する粒子放射線は電離放射線(Ionizing radiation)と呼ばれています。電離放射線への曝露は細胞に損傷を与え、発がん性を引き起こす可能性があります。

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非電離放射線(Non-ionizing radiation: NIR)は、日常生活の中で広範囲に存在し、適切に管理されていない場合、潜在的に被ばくした作業者に健康リスクをもたらす可能性があります。

EHSRでは、機械に付属する取扱説明書は、作業者に健康リスクをもたらす可能性のある非電離放射線の情報を提供することを要求しています。

 

  

非電離放射線には、マイクロ波、無線周波数範囲の磁気や電磁放射、赤外線、可視および紫外線周波数範囲の光放射が含まれます。強い磁界にさらされると、めまい、吐き気、明滅する光の視覚的感覚を引き起こします。また、マイクロ波および無線周波数放射への曝露は、加熱効果を引き起こし、神経および筋肉の反応を妨げる可能性があります。特定のレベルの光放射にさらされると、火傷やその他の目や皮膚の損傷を引き起こす可能性があります。紫外線への曝露は発がん性がある可能性があります。

埋め込み医療機器(体内に植え込んで使用する心臓ペースメーカや除細動器など)を使用している場合、電波機器(携帯電話、非接触ICカードシステム、RFID機器、無線LANなど)からの電波により誤動作が発 生した場合に健康に悪影響が生じる可能性があります。製造者は、電波機器の利用者、植込み型医療機器の装着者の双方が影響の発生・防止に関 する情報を共有し、影響の防止に努めていくことが重要です。

 

 

MSDコンサルティング