機械安全の法律・規格と設計手法

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固定ガードへの要求事項|機械指令の基本的な健康と安全の要件(EHSR)

機械指令の基本的な健康と安全の要件 Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から1.4.2.1 の「固定ガードへの要求事項」について解説します。

機械指令では、ガードは3つの種類に区分されます。固定ガードとインターロック・ガードと調整ガードです。 ここでは、固定ガードの説明をします。ガードによって保護されている区域へのアクセスが必要ない場合、または頻繁に必要とされない場合は、固定ガードを採用するのが一般的です。

 

ポイントは、

  • 固定ガードは、工具を使用してのみ開けたり取り外したりできる。
  • ガードを取り外した時に、その固定具はガードまたは機械類に取り付けられたままでなければならない。
  • ガードはその固定具がないと所定の位置に保持できない。

 

原文
1.4.2.1 Fixed guards
Fixed guards must be fixed by systems that can be opened or removed only with tools.
Their fixing systems must remain attached to the guards or to the machinery when the guards are removed.
Where possible, guards must be incapable of remaining in place without their fixings.

和訳
1.4.2.1 固定ガード
固定ガードは、工具を使用してのみ開けたり取り外したりできる固定具で固定されなければならない。
ガードを取り外した時に、その固定具はガードまたは機械類に取り付けられたままでなければならない。
可能な場合には、ガードはその固定具がないと所定の位置に保持できないものでなければならない。

  

保護された機械内部にアクセスする必要がない場合、または必要なアクセスを別のルートで確保されている場合は、固定ガードを、溶接、リベット留め、接着などによって恒久的に固定します。

一方、固定ガードを開閉する必要がある場合、固定具は工具で開閉することのみが可能でなければなりません。これは、固定ガードの開放を許可された人に制限することを目的としています。したがって、固定ガードは、例えば、鍵またはレンチなどの工具を使用することによってのみ取り外すことができるボルト、ねじ、または留め具によって固定しなければなりません。つまり、蝶ボルト/ナットやクイックリリースファスナーなど、すばやく緩めたり取り外したりできる固定具は使用は認められません。

固定ガードの固定具を、ガードを取り外したときにガードまたは機械に取り付けたままになるように設計しなければなりません。これは、たとえば保守でガードが取り外されたときに固定具が失われることのリスクを軽減することを目的としています。固定具が失われることにより、ガードが交換されなかったり、部分的にしか固定されなかったり、十分な強度がない交換用固定具で固定されたりする可能性がるためです。

使用場所で行われる日常の清掃、設置、または保守作業中に取り外されます。この要件は、機械が完全にオーバーホールされる場合や大規模な修理が必要な場合、または別の場所に移動するために解体された場合において、取り外される可能性がある固定ガードには適用されません。同様に、使用者が取り外すことのない機械のカバーにもこの要件を適用する必要がない場合があります。この場合は、製造者は、これらのカバーの取り外しが必要な修理は、専門のメンテナンス工場でのみ実施するように指定する必要があります。また、その場合は、取り外しが容易でない固定具を使用する必要があります。

固定ガードが適切に固定されていない、またはガードを正しく交換できていないことに作業者が気付かない状況を避ける設計が必要です。可能な場合は、固定具を緩めると、固定ガードが固定位置から自動的に外れるようにする方法があります。

 

 

MSDコンサルティング