機械安全の法律・規格と設計手法

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運転中の破損に対しての要求事項|機械指令の基本的な健康と安全の要件(EHSR)

機械類の運転中の故障に関連する危険性は、例えば、機械には、機械自身やその部品の破壊、または装置の故障による機械の制御されない動きに起因するリスクがあります。操作中の機械の部品の破損を防ぐためには、動作中に受ける応力に対して強度等を考慮した適切な材料を使用し、装置の故障による制御されない動きを止める装置の設計と製造が不可欠です。

そのため、整合規格等が、重要な部品の材料、設計、構造、および検証の仕様を提供しています。 その他、運転中の破損に対しての要件を満たすには、安全設計の原則とその実施を行わなけれななりません。

 

機械指令の基本的な健康と安全の要件 Essential Health and Safety Requirements (EHSRs) の必須要求事項の中から1.3.2 の運転中の破損によるリスクについて解説します。

1.3.2 運転中の破損によるリスク(Risk of break-up during operation)
機械類の種々の部品およびそれらの連結部は、使用された場合に受ける負荷に耐えなければならない。

使用される材料の耐久性は、製造者の予測する作業環境の特性、特に疲労・経時変化・腐食及び磨耗の各現象に対して十分なものでなければならない。

取扱説明書は安全上の理由から要求される点検・保守作業の種類・頻度を明示しなければならない。適切な場合、取扱説明書は磨耗部品とその交換基準を明示しなければならない。

これらの対策にもかかわらず、破損または分解によるリスクがなお残る場合、危険状態を防止するためにいかなる破片も収容されるように、当該部品は取付けられ・配置されおよび/または防護されなければならない。

特に高圧で使用される流体を輸送する剛性配管及び可とう性配管は、いずれも予測される内部および外部圧力に耐え得るものであり、また、破損から生ずるリスクが生じないように、これを堅固に固定しおよび/または 防護しなければならない。

処理すべき材料が自動的に工具に供給される場合、人に対するリスクを回避するために、次の条件を満たさなければならない:

  • 加工対象物が工具に接触する場合、工具が正常な加工条件を既に確保していること、
  • 工具が(意識的にまたは偶然に)起動および/または停止するとき、送り動作と工具動作とが調和していること。

 

機械類の運転中の故障に関連する危険性については、機械類がそのライフサイクルのさまざまな段階で使用されることを意図している条件を考慮することが重要です。

特定の使用条件は、たとえば、極端な高温または低温、腐食性雰囲気、湿度または放射など、特定の材料および装置の破損に影響を与える可能性があります。

たとえば、回転工具の速度超過は、破損の危険性を引き起こすため、速度超過を防止する必要があります。 機械の意図された使用条件とその制限は、製造者が指示を行わなくてはなりません。

機械類の破壊に疲労強度が重要なファクターになっている場合には、製造者は、関連する装置が応力のサイクルの数を考慮に入れて、ライフサイクルにおける機械の予想寿命と機能の性質を考慮しなければなりません。

また、破損につながる可能性のある摩耗する機械部品を使用者が定期的に検査し、必要に応じて修理または交換する必要がある場合があります。そのような場合には、 製造者は、部品に対して実施しなければならない検査の方式(たとえば、目視確認、機能確認または検証)、そのようなチェックの頻度(たとえば、操作サイクルの数または使用期間の観点から)を示さなければなりません。 

適切な材料と装置を使用しているにもかかわらず、運転中に破裂のリスクが残っている機械もあります。このような場合には、破片が人に届かないように必要な対策を講じる必要があります。これには、壊れやすい部品を取り付けて配置し、フレームなどの機械の他の部品に破片が留まるようににするか、適切な防護壁を取り付けることで対応することができます。また、その保護壁は放出された破片のエネルギーに抵抗するのに十分な強度が必要になります。

流体を含むパイプやホース、特に流体動力システムで使用されるような高圧下にあるものに関連する特定のリスクもあります。パイプやホースは、それらが受ける可能性のある内圧やその他の応力に耐えられるように設計および取り付けられなければなりません。一方、破裂のリスクが残っている場合は、液体の排出を防ぐために、それらを配置を考慮またはシールドする必要があります。

特定の範囲の速度で安全に動作するように設計された工具を使用する機械に関連するリスクには、加工する材料と工具が低速または高速で接触した場合の工具や材料の破壊のリスクが発生する可能性があります。 通常の作業条件が達成されるまで、加工材と工具との間に接触があってはなりません。 同様に、工具の速度は、工具の開始および停止のたびに、送りの動きは、自動的に調整されなければなりません。

 

 

 

MSDコンサルティング