機械安全の法律・規格と設計手法

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機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針

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機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針とは

この指針は、電気・電子技術を活用し、機械に対して信頼性の高い制御を、従来の安全指針(危険性又は有害性等の調査等に関する指針および機械の包括的な安全基準に関する指針)に加え、機械の安全を確保するための新たに制御の機能の付加に関しての基準を規定したものです。

 

指針(リンク)

機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(pdf)

機能安全に係る実施事項  

機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(平成 28 年厚生労働省告示第 353 号)は、機械に電気・電子・プログラマブル電子制御の機能の付加で、機械による作業者の怪我の重篤度と発生確率の組み合わせである「リスク」を低減するための機能安全とその方法の実施を求めています。

  1. 機械の危険性や有害性(リスク)を特定し、リスクを低減の電気・電子・プログラマブル電子制御の機能を特定する。
  2. 要求安全機能を実行する電気・電子・プログラマブル電子制御のシステムに要求される要求安全度水準(信頼性の水準)を決定する。
  3. 電気・電子・プログラマブル電子制御のシステムが要求安全度水準を満たすために求められる事項を決定し、それに従って機械を設計・製造する。
要求安全機能及び要求安全度水準の内容
  1. 要求安全機能には、危険事象の発生を防止または被害を緩和する機能が含まれなければならない。
  2. 要求安全度水準は、要求安全機能の作動が要求された時に、安全関連システムが要求安全機能を作動させることができない確率であり、指標として、IEC 61508 の安全度水準(SIL)またはISO 13849 のパフォーマンスレベル(PL)を用いる。
実施に当たっての主な留意事項
  1.  安全関連システムには、検出部(センサー)の①入力部、②論理処理部及びアクチュエータの③出力部が含まれる、機械等の運転制御のためのシステムから独立していることが望ましいこと。
  2. 安全度水準又はパフォーマンスレベルについては、IEC 61508 の安全度水準(SIL)またはISO 13849 のパフォーマンスレベル(PL)又はこれらと同等以上の基準に適合しなければならない。
  3. 機能安全を含む機械等の設計等を行う者に対して、必要な教育を実施しなければならない。
  4. リスク評価は、客観的な評価のため複複数の担当者により評価を実施すること。
  5. 安全装置の故障によって作動が求められる安全関連システムには、低頻度の作動要求モードを適用するのが妥当である。
  6. 非常停止ボタンのように、使用頻度が1年に1回を下回ることが想定される安全関連システムについても低頻度の作動要求モードを適用するのが妥当である。但し、非常停止ボタンの安全関連システムが運転用の制御システムから独立していない場合は、高頻度の作動要求モードの適用が妥当である。(筆者意見:非常停止ボタンの安全関連システムは運転用の制御システムから独立していなければならない)
  7. 保護停止装置(プレス機械の光線式安全装置等)の安全関連システムについては、一般的に、高頻度の作動要求モードの適用が妥当である。
  8. 製造者は、機械の機能安全に係る実施事項(要求安全機能と要求安全機能を実現する安全関連システム、要求安全機能ごとの要求安全度水準 、要求安全度水準を満たすための要求事項)について記録し、保管すること。

 

参考:労働安全コンサルタント試験 (産業安全一般)

第47回 問30 

厚生労働省の「機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

  1. 機械等の製造者は、当該機械等による労働者の就業に係る危険性または有害性を特定した上で、それによるリスクを低減するために要求される電子等制御の機能を特定する。
  2. 要求安全度水準を表す指標として、IEC 61508の安全度水準又はISO 13849のパフォーマンスレベルが用いられる。
  3. 安全関連システムには、検出部(センサー)等の入力部、論理処理部及びアクチュエータ等の出力部が含まれる。
  4. 要求安全度水準の決定に際して実施するリスクの解析では、安全関連システムの故障を考慮するが、予見可能な機械等の誤使用は考慮しない。
  5. 作動要求モードの決定に当たっては、機械式の安全弁の故障時に作動する燃料遮断リミッターのように、機械式の安全装置の故障によって作動が求められる安全関連システムには、低頻度の作動要求モードを適用することが妥当である

 

 

 

 

 

答えは、4が間違いです。

リスクアセスメントでは、予見可能な機械の誤使用の考慮は必須です。機能安全についてもこのことは変わりません。

 

 

MSDコンサルティング